石川県いけ花文化協会

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第45回記念北國花展
北國芸術賞受賞者大作・第45回記念特別作・特別大作 作品紹介

【開催日時】
前期:令和2年1月18日(土)~1月21日(火)
後期:令和2年1月23日(木)~1月26日(日)

【展示場】
めいてつ・エムザ 催事場

北國芸術賞受賞者大作 4点


清水 千翠(池坊・金沢)
 自宅の雪見障子から発想を広げ、障子を使ってこれまでに見たことのない作品にしようとワクワクしながら制作しました。障子紙の赤や黄色がドレスのように、松やナンテンの実、薄ピンクのランなど命ある植物を引き立てます。数え年で今年、90歳になります。お弟子さんたちとの絆、植物との絆を思い、ご縁を大切にしていきたいと思います。
和一心
蓮覚寺 光敬(草月流・金沢)
 「和む」「平和」そして「令和」の「和」をお弟子さんと「心」を一つにして生けました。中央の花器に松、イイギリの実、ヘリコニア、右には斑(ふ)入りのアオキなどを寄せています。風と光が感じられ、どこからか音がしてくるような作品を目指しています。生け花はおもてなし。伝統文化の盛んな土地で生けられることに感謝しています。
-望-
西 淳甫(嵯峨御流・野々市)>
 竹を割ったような性格と言いますが、今回の主役は半分にすぱっと割った竹です。緑と白の部分を対比させながら放射状に構成し、モダンな雰囲気に仕上げました。ユリ、梅の古木を寄せ、シダレヤナギで動きを付け、金に塗った竹の皮を効果的に用いています。生の花を使った嵯峨御流らしい生け花に、平和への望みを託しました。
令和 . 初子(はつね)
市村 理優(古流華之枝会・野々市)
 新元号の「令和」の出典となった万葉の世界を表しました。「梅花の宴」の夜に、蘭(らん)が衣にまとう香(こう)のように薫り、月が水面に浮かびます。グラスにカトレアを寄せ、45回を祝して松竹梅をめでたく生けました。陰陽五行で子年(ねどし)に当たる紫を背景にし、平安時代の初子(はつね)に習って根付きの松を門飾りのように添えてあります。伝統と現代の融合です。

第45回記念特別作 1点

荘厳(しょうごん)の原点と金沢の雅
廣岡 理樹(華道古流十世家元・古流柏葉会家元・金沢)
 古流が重んじてきた陰陽五行の「木火土金水(もっかどごんすい)」を掛け軸にし、それぞれのイメージをツバキの彩流華(さいりゅうか)と、アスナロ、松、紅白の梅、フリージアなどの自由華で生けました。天神さまの梅は加賀藩とゆかりが深く、軸装は「現代の名工」の永嶋明さんが加賀梅染を復元したものです。禮華(れいか)も添え、金沢の文化を現代の形で表しています。

特別大作 5点

風心清(ふう・しん・きよし)
松上 裕美(池坊・能美)
 老いた松には、そよぐ風も清らか。禅語「老松風心清」から着想を得ました。ヒメコマツやアカマツなど種々の松を一つに表現する松一式では、「山の上」「中腹」「里山」という山の世界も伝わるよう腐心しました。自分の名前に含まれるだけに、松には人一倍思い入れがあります。風心清でありたいという願いを伝えます。
慶春
中村 香代甫(嵯峨御流・内灘)
 令和最初の春を迎えられる慶びを皆さんで共有したいと、花材を手に取りました。風格のある桐と松を主材とし、緑と白のシュロが羽ばたく鳥を表現しています。新時代は災害がなく、実り豊かになるように。そんな願いを込め、オレンジ色のストレチアや黄色のシンビジウムに加え、自宅の庭で育ったレモンもあしらいました。
風の中で
田中 嶺香(草月流・津幡)
 このテーマを選んで7、8年になります。中央のシダレヤナギは流れをつくりだすよう工夫を凝らし、手前のユキヤナギ、奥のカワヅザクラの位置や枝の具合にも苦心しました。やはり命ある植物はなかなか言うことを聞いてくれません。しかし、見た方に「温かさ」「清らかさ」などさまざまな風を感じていただければと思います。
古流生花
川口 理智(古流松栄会・かほく)
 新しい時代に初心にかえる。その思いで、初めて北國花展に出品させていただいた18年前と同じ「古流生花」に挑みました。古流の伝統にのっとり、五葉松の枝の「受け流し」をはじめ、万年青(おもと)、シンビジウムの葉の流れ、位置にも注意を払いました。作法がある故の美しさが古流の魅力。次代につなぎたいとの決意も込めています。
花紡(はな・つむぐ)
広田 旬玲(小原流・白山)
 能登の松に桐を合わせ、小豆島のカナリーヤシに飛翔のイメージを重ねました。今年は雪の少ない冬のせいか、乾燥しやすく、松の状態を保つのに心を砕きました。伝えたいのは、この舞台をいただいた感謝と、気品と迫力を教えてくださった恩師2人への思い。そして、若い世代に花の道を紡ぐという願いを感じていただければ幸いです。

(順不同)

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